田崎さんの工房へ その2

「じゃ、ちょっとやってみますか」と言った田崎さんは、
おもむろに、一つのカップの「削り」の行程を始めた。





無言になった田崎さん。
今さっきまで、僕とどうでも良い話をしていた田崎さん。
工房に静寂が訪れ、
「ざっざっ、ざっざっ」という削れていく音だけが聴こえてきた。

この「削り」は田崎さんの作品の特徴。

そして削り終わった形の佇まい。

これは削る前。



エンジニアのような緻密さは田崎さんの作品の魅力の素。

僕は、出来上がったものよりもプロセスが好きだ。
よく「プロジェクト感好きですね。。。」と言われるのもその所以。

社員やスタッフにもそう。
何かを作り上げるその過程にこそ物語があり、
一人の人間がどう成長を遂げていくかに興味があり、
何かをどう作り上げるかにこそ仕事の醍醐味がある。

いいも悪いも。。
出来上がったことにはすでに興味を失ってしまう。。

なんだかよくわからないけど、
プロセスが好き。
プロジェクトが好き。

ということで、
僕はこの役割を精一杯務めますから
お客様には「使う」という役割をお願いしたい。
という思いでいっぱい。

いつも「現場」というところに行くと、
プロセスの真っ只中に自分もいてみたくなって、ものすごくそわそわする。
で、作り手と同じことをやってみたくなる。

どうしても。
どうしても。

田崎さんにも「僕もやってみたい」と言ってみたら「どうぞ」と言ってくれた。
この癖は、海外へ行っても同じ。
でも、いつでもみんな「どうぞ」と受け入れてくれる。

みんな親切。
ちゃんとお世話焼いてくれる。
田崎さんの工房に(多分)落ちていた端材(多分端材じゃない)で
やりたいことが思いつく。



モロッコの好きなマーク「アマジーグ」。
何にもとらわれない自由を意味するマーク。

僕も田崎さんみたいに削りたい。


だいたい、すぐ、飽きる。
ちょっと削って満足した。
田崎さん、これも焼いてくれたかな。。。

なんでもすぐ飽きちゃうことはお見通しで、
「コーヒーでも飲みますか」と機転を聞かせてくれる田崎さん。

工房横の自宅でコーヒーの準備をしてくれた。
田崎さんは、とても素敵な暮らしをしている。



 田崎さんを囲む、暮らしのひとつひとつが美しく愛情があるなぁと思った。
モノを作る人だからできる暮らしのあり方。
モノを作る人だからこその暮らしの表現。

田崎さんの作るモノの機能性と美の関係とその根拠を少し垣間見た気がした。


(つづく)

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『田崎宏 白磁展』
2019. 6/8 sat - 6/16 sun
11:00-18:00
会期中無休

三方舎書斎galleryにて
〒956-0864 新潟県新潟市秋葉区新津本町3丁目4−22 tel.0250-25-3939
http://www.sps-i.jp

◉作家在展日
6/8(土),9(日),16(日)


<会場へのアクセス>
新津駅から徒歩8分
駐車場10台あり







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